
前回までは新婦の家で行う結婚の儀式についてお伝えしました。
今回は新郎の家で行う続きの儀式をお伝えします。
最後に至るまで、とても意義のあるすてきな結婚式をお楽しみください☆
9 グルハ・プラヴェーシャ 新郎の家の玄関に米の穂が入った壷を置いておきます。新婦は右足から玄関に入り、その壷を足でそっと触れます。これは、新婦の姿のラクシュミー神が家へやってきた、という意味が含まれています。新婦は繁栄の象徴、ラクシュミー神として迎え入れられます。
新婦はマントラを唱えます。
「私はこの家の繁栄のためにやってきました。私はこの家の家族の一員です」
新郎は新婦の家から持ってきたヤジュニャ(儀式)の火を持って家に入ります。このヤジュニャを生涯続けていきます、という意味があります。
10 プラビッシャ・ホーマ ホーマは日本で言う「護摩」です。様々な神々・女神に祈ります。
「この家にたくさんの牛が生まれて牛乳やギーを得られますように。そうすれば護摩を続けられます。
たくさんの富に恵まれますように。そうすればお布施ができます。
食べ物に困りませんように。そうすればたくさんの人に与えられます。
畑の野菜や果物がたくさんなりますように。そうすればヤジュニャが続けられます。」
結婚した二人は沈黙を夜まで守ります。
そして、夜一緒に外へ出て、北極星(ドゥルヴァ)を見ます。
11 ドゥルヴァ・ダルシャナム 「ドゥルヴァ」は北極星、「ダルシャナム」は見るという意味です。
「あなたは宇宙の中心にいて安定しています。私たちも不動のものにしてください。邪魔されずにまっすぐ歩いていけますように。私たちは人間なので問題はやってきます。しかし、あなたの助けで不動になれます」
12 アルンダティ・ダルシャナム 次に、サプタリシ(北斗七星のこと。7人の聖者を表す)に挨拶をします。そして、サプタリシのうちのヴァシシュタ仙を表す星の近くにある、ヴァシシュタ仙の奥さんを現す星、アルンダティにも祈ります。
「あなたは旦那様と一緒にダルマを果たしています。あなたのように夫婦一緒にダルマを果たせますように。私たちにどうぞ祝福を与えてください」
他の6人の聖者の奥さんはクリティカ(すばる)として輝いています。
クリティカも2人で崇拝します。
13 パラスパラ・サンミャクシャナム 「パラスパラ」お互いに、「サンミャクシャナム」見つめるという意味です。
沈黙をとき、お互いに見つめて、話はじめます。「サンミャクシャナム」とは、相手の心まで見るということです。
そして、新婦はマントラを唱えます。
「あなたは苦行からお生まれになり、今日までその苦行を続けてこられました。
あなたはまた私の子供として生まれてきてください。
私の中でタパス(苦行)をし、子供として生まれてきてください」
新郎も唱えます。
「私たちの愛がいつまでも続いていきますように。
すばらしい子供を授かれますように。
ずっとヤジュニャを続けられますように。
一緒に神々になれますように」
生涯一緒にいよう、子供を授かろう、生涯ヤジュニャを捧げようと二人で決めます。
これで、長い儀式が一通り終わります。
このあと4日間禁欲を守り、その後本当に一緒になります。
これが、インドの伝統的な結婚式です。
ひとつひとつの儀式には、結婚にたいする深い意味が含まれています。
これを行っていくことで、より二人の関係性を明らかにし、人々や神々からの祝福を受けます。
日本ではこのような結婚式はとても難しいですが、その内容に含まれるエッセンスを分かち合えればいいなと思います。
写真「バーガヴァタプラーナ:下」バラマサ・カールティカ
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by yumi-ayurveda
| 2014-03-27 07:47
| インド哲学