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アーユルヴェーダやインド哲学、つれづれ日記


by yumi-ayurveda

結婚の儀式インド編(前編)

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前回はインド哲学による結婚する意味についてお伝えしました。

今回は、インドの伝統的な結婚式と、その儀式に含まれる哲学的な意味もお伝えします。
なかなかロマンチックで、素敵な意味が込められていますよ。

「私はこの人生の目的を果たすために一緒に支え合うパートナーが欲しい」と思ったら、結婚をするにふさわしい時期です。

正しい道を歩いていくには、正しいパートナーが必要になります。

そのため、新郎(新婦)はまず、年長者に「どうぞ私に正しい花嫁(花婿)を見つけてください」と頼みます。
新郎は年長者の使者に対してマントラを唱えます。

「尊敬される年長者よ、私の代わりに行ってください。
ふさわしい相手を探してください。
そしてその両親に、私にその娘をくださいと頼んでください。
インドラ神にも頼みます。相手を探す手伝いをしてくれますように。
そうすればインドラ神が他の神々にも頼んでくれるでしょう。
もし相手が見つかったら、私はあなたにヤジュニャ(祭祀)をします。正しい相手が見つかったときのみ、ヤジュニャが出来るのです。そして毎日捧げものをします。
だから、インドラ神や神々が相手を見つけて来てくれますように。
至高の神々があなたに仕えているように、私も仕えます。
しかし私にはその前に正しい相手が必要なのです」

これを、1バラ・プレーシャナムと言います。
年長者はこの人なら!という、知恵を持っていて自信をもって勧められる相手を探してきます。
相手を見つけたら、まずジョーティシャ(インド占星術)で相性を見ます。
ここでNGなら再度見つけにいき、OKでお互いに話を進めてよければ、結婚することが決まります。

もし、頼める年長者がいなければ、正しい相手を自分自身で見つけにいきます。
ルクミニー姫に両親が見つけて来た相手はなんと悪魔でした。
そこでルクミニー姫はクリシュナに手紙を書きます。
「私をあなたの妃にしてください!」
そして、クリシュナ神はルクミニー姫を奪いにいきます。
どちらにしろ、相手を選ぶのも受け入れるのも、識別心が必要になります。
そのため、伝統的なインドの結婚相手選びは識別心のある年長者を使者にすることになっています。

さて、新郎はめでたく新婦を見つけました。新婦の両親も了解し、結婚の日取りを決めます。
そして、結婚式の当日になりました。

2 ニルバンダ 「ニル」は良く、「バンダ」は結びつけられるという意味です。
2つの家族が大変良く結びつけられたという意味の儀式です。
結婚式当日、新郎は新婦の家へやってきます。新婦が主役なので新婦の家で贈り物のやりとりをするなど、全ての儀式が行われます。

3 カンニャーダーナム 「カンニャー」とは未婚の女性、または結婚する人。「ダーナム」は差し上げる、という意味です。新郎は新婦をもらい受けるという儀式をします。

4 パーニーグラハナム 「パーニー」は手、「グラハナム」は了解する、という意味です。
新郎は新婦の手を取ります。なぜ手を取るのでしょうか?
それは、新郎も新婦も、お互いのダルマ(人生における道・義務)を果たすのにお互いの手を必要としているという意味を表すからです。

5 ハスタ・グランティ 結ばれた手、という意味で、本当にお互いの手を聖なる紐で結びつけます。
「ここに、今ダルマのために二人の手が結びつけられました!」とみんなの前で司祭に宣言されます。

6 マンガリヤ・ダーラナム 新郎は「マンガラ(吉祥な)スートラ(紐)」というネックレスを新婦の首にかけます。

7 プラダクシナ 儀式中に焚いている火の周りを歩きます。
火はどんな宗教の儀式をする時も中心にあります。人生のあらゆる場面を目撃しているのが火の神です。
結婚を目撃した人々もいつかはこの世からいなくなってしまいます。歴史の中で、誰がいつまでも二人の結婚を認めていてくれるでしょうか?それは、この火の神です。火は結婚の目撃者と言われます。

8 サプタ・パディ 「サプタ」は7つの、「パディ」はパタ、踏むことです。
天界は7つあるといわれています。火の周りを時計回りに7歩あるくことで、夫婦でダルマを果たし、その7つの天界を一緒に渡っていこうという意味が含まれています。

ここで新婦の家で行う儀式は終了です。

次回は新郎の家で行う儀式をお伝えします。

*写真「バーガヴァタプラーナ:下」美莉亜著 バラマサ・ファールグナ


by yumi-ayurveda | 2014-03-19 23:22 | インド哲学